2007.07.29 ESDツリーニュース(環境教育ニュース)第20号 

ESDツリーニュース(環境教育ニュース)第20号 
発信:PLT 日本事務局 by ERIC 担当 梅村松秀
===================================================================================
「ESDツリーニュース「はPLT(Project Learning Tree 木と学ぼう)関連のニュースを発信し、 PLTに関心を持つ方々、各地でPLTを用いた環境教育を実践されている方々のネットワークを強化し、持続可能な開発のための教育を目指して、毎月一回ペースで発行しております。
===================================================================================
PLT(Project Learning Tree:木と学ぼう)について詳しく知りたい方はこちら。
  ⇒ http://www.k3.dion.ne.jp/~eric-net/plteric.htm?
環境教育の人材育成事業を行っている団体として、環境省のHPに掲載されています。
         ⇒ http://www.env.go.jp/policy/edu/reg/index.html

前回19号は「…梅雨らしくない6月…「と、全国的な旱魃への危惧とともに九州地方を中心とした豪雨を危惧するリード文でした。20号をお届けできるこの数日、西南日本そして東海地方での梅雨明け宣言が報じられました。私の住む集合住宅群は、武蔵野台地の北端を刻む小さな谷あいの起伏を利用して立地しますが、湿気のただよう数日前の夕方、谷あいに残された小さな池の上空をたくさんのこうもりが飛び交っていました。

前回のリード文「やはり潤った土壌や生命の力を感じ…「を、身近なところで実感しています。
さて本号がとどく頃、完成したばかりのモジュール「エネルギーと社会「を活用してのERIC主催による「PLTリーダー講習会」が行われています。

ERICではさらに食農教育とPLTプログラムとの連携、そしてPLTモジュール”Places We Live”を活用しての小学校総合学習プログラム作りなどが進行中です。今回はPLTモジュール「エネルギーと社会「完成を期に、PLT翻訳プロジェクトに関しての解説、ERICでの同モジュールによる研修概要、各地のPLT研修案内、シルクロード植林報告(6)の順でお伝えしたいと思います。 (梅村)


■□ 第19号の目次 □■

1.『エネルギーと社会』と翻訳テキストの展望   足立恵理

2.『エネルギーと社会』を活用してのリーダー講習会について

3.PLT指導者養成講座案内

4.「シルクロード植林ボランティアへの参加から「 ~中国内陸部の環境問題への取り組み(6) 梅村松秀


1.『エネルギーと社会』と翻訳テキストの展望   足立恵理

 新モジュール『エネルギーと社会』(”Energy & Society”)の発刊を機に、これを活用するリーダー養成研修が7月28~29日にERIC事務局で行われています。7月7~8日には大分県での研修でも活用されました。
詳しい研修報告や発見は別の機会にいただきますが、今回は翻訳プロジェクトの視点からの報告です。

 96のアクティビティを5つの概念とストーリーラインで整理したのが2006年版のガイドですが、あまりの分量の多さに、テーマ別の切り口で整理した分冊提供をしています。

 『イントロダクトリー (Introductory Module) 』は、PLTのミッションに始まり、PLTの内容や方法についての理解を助ける、まさに「総論「としての役割があります。 今回の『エネルギーと社会』をはじめ、今進んでいる『野外活動』 『リスク (Focus on Risk) 』『わたしたちの住むところ (Places We Live)』などは、テーマのある学習を助ける素材となります。
近い将来、『木と学ぼう』、『イントロダクトリー』に『エネルギーと社会』などのテーマ別モジュールがセットとなり、研修で学ぶごとにモジュールが増え,学びの全体像ができていく、そんなスタイルが提供できそうです。

 テーマ別提供の良い点は、改善や補足追加をしやすいことです。実際に研修で活用して、進め方の改善案や追加したい資料案も見えてきます。それら は次の版で追加されるまでは、随時資料等で補われていく予定です。

リーダーの皆さんからの改善案や提案を、柔軟に迅速に活かしやすい体制だと思います。また、ERICの環境教育の教材や素材も連動して活用できるよう、参考資料の欄もより充実させたいと考えています。

原著『エネルギーと社会』はエネルギーとは何かという基礎的理解から始まり、問題解決を考えていくまで、とてもよく構成されています。練り上げられた アクティビティに、A3程度の大きさにエネルギーの様々なかたち、ありか、状態の全体像がつまっているポスターに、歌とダンスでエネルギーを表現したCD とDVDに、教え方・学び方にはまだまだいろんな工夫と可能性があるのだなと感じさせられます。
(ポスター、CD,DVDはテキストとは別提供)。ぜひとも学ぶ場でご活用ください。 


2. 「エネルギーと社会「を活用してのリーダー講習会について
「PLTリーダー講習会「はPLT日本事務局の主導の下に開催されるものです。
今年度はこれまで大分と東京での開催、引き続き秋以降の開催についてもいずれお伝えできる予定です。

リーダー講習会の参加者は、PLT講習会受講済み、またはファシリテーターとして活躍している方を想定しての研修です。PLTリーダーとしてどのような資質が求められるのでしょう。今回の12時間プログラムとして展開予定される構成および展開案を紹介します。

<第1日>
10:00~12:00 セッション1 『共通基盤づくり』
ねらい~情報の共有、共通理解のための場と風土作り、環境教育のめざすところ
      展開概要~2日間の流れ/PLTエネジャイザーを利用したコミュニケーショントレーニング
      私たちが展開している環境教育のねらいとPLT5つのテーマ
13:00~15:00 セッション2 『流れのあるプログラム』
ねらい~プログラム体験
      展開概要~#44『水の不思議』のアクティビティ体験と「水の循環「概念図を活用したプログラムを考える
      PLTストーリーライン作り
15:00~17:00 セッション3 『PLTについて』
ねらい~PLT指導法の理論的背景についての理解
      展開概要~『流れのあるプログラム』ふりかえり/構成主義/全体言語/問題解決/サービス学習

<第2日>
10:00~12:00 セッション4 『アクティビティ実践』
ねらい~「エネルギーと社会「所収アクティビティを利用したプログラム作り
      展開概要~#1「エネルギー発見「
             #2「いつもエネルギーがあなたとともにありますように「
             #3「エネルギー・チェイン「
             #4「動きのパワー「について展開案の作成
13:00~15:00 セッション5 『評価とファシリテーター』
ねらい~アクティビティ実践の評価とふりかえり
      展開概要~「ファシリテーターの資質「
             「スキル「 (Introductory Module p80~p.81)を活用して
           ふりかえりと評価
             ファシリテーターに求められる資質の認識
15:00~17:00 セッション6 『推進の課題』
      ねらい~プログラム推進に当たっての課題とコミュニティの課題を考え、それをふまえての行動計画作り
      展開概要~郵便やさん/ふりかえり/コミュニティとコミュニケーションの課題/行動計画作り


3.PLT指導者養成講座

前号で紹介できなかった講習会について開催済みですが報告させていただきます。
  --------------------------------------------
  名  称 : 環境教育PLT一般指導者講習会
  主 催 者 : ひょうごPWを推進する会 山上寛之・村田美津子
  日  時 : 2007年7月15日
  講習会レベル:ファシリテーター養成
  --------------------------------------------
8月に予定されているプログラムがありますが、確定をまって来週以降のERICメルマガでご案内します。


4. シルクロード植林ボランティアへの参加から~中国内陸部の環境問題への取り組み(6) 梅村松秀
                               
前回に引続き、中国内蒙古自治区における FoE 主催 の15次緑化隊への参加レポートで、今回は現地における植林活動の具体的な作業を中心に報告します。

3.内蒙古自治区ウルスンの烏雲農場
6月14日の深夜、私たちのバスは遼寧省の省都瀋陽から6時間弱の内蒙古自治区南東部ウルスン周辺での植林活動の拠点になる烏雲農場 に着きました。満天の星あかりのなか、植林指導を担当される成田さんの出迎えをうけ、10室ほどからなる宿泊棟利用に関する案内のあと、私と同様FoEの植林活動に初参加というUさんと同室。翌日は暑くならないうちに植林活動に出かけるとのアナウンスに落ち着かないまま床につき、うとうととしたと思うまもなく、薄いカーテンごしの陽射しで植林第一日を迎えました。

身支度のための洗面・トイレなどは宿泊棟の外。洗面は入り口脇に設置された3mほどのコンクリートの流し台と手漕ぎポンプによる井戸水を使います。利用後の井戸水は宿泊棟の前に設けられたぬるめをへて、新しく作られたという水田の用水にも利用されています。水田には20センチあまりに生長した稲が風にそよぎ、おたまじゃくしがたくさん泳ぎまわっています。井戸水の得やすさと水田ができることは陝西省の西安北部の黄土高原や甘粛省の蘭州周辺との大きな
違いのように思われます。

朝食の会場は、ゲルの形をイメージしたと思われるコンクリート製の円形の建物)で、研修室の役割も果たしています。食事のあいまに烏雲農場の主、菊池さん、そしてFoEの成田さんによる植林に関する概況説明、そして8時過ぎにはジープ4台に分乗して植林活動現場への出動です。

農場からウルスンの集落を貫く道路は4車線分以上の道幅がありますが、舗装されているのは中央二車線分、それもほとんど手入れされていない状態。私たちが分乗したジープは外観は綺麗ですが、内装はあちこち鉄材がむき出しになって相当くたびれていますから、振動のたびにからだに打ち身ができるようなもの。幹線道路をしばらくいった後、横道にはいり、完全に砂地での走行となりました。道筋なることあるいは農地の区画境なのか2mぐらいの柱とそれを
結ぶ針金で境界された柵が、進行方向を示しているように思われます。いくつかの砂丘を乗り越え、1時間あまりかけて植林予定地につきました。

チョグチグー村に属するこの地は、家庭農場作り支援の一環として緑化モデル地区の創生に向け2006年から植林活動が始められたとのこと、日本からの参加者と地元住民との共同作業は今回で3回目、現地では地元住民が地下水くみ上げのためのポンプ機器、ポッドにはいった苗木やショベル・バケツなどの準備をして私たちを迎えてくれました。

見渡す限り青空と砂丘が織り成す水平線。持参したGPSによれば北緯42度56分、東経121度23分。日本に当てはめると緯度では札幌の南、経度では日本最西端の与那国島よりさらに西に相当します。海抜高度は300m前後.Nさんの温湿度計によれば、気温34度、湿度35%です。

4.植林活動の実際
この地における緑化作業の概要をFoEが私たちに用意してくれた資料などから整理してみると、私たちの作業は「苗木を植える」と「草方格を作る」という二つになります。

「苗木を植える」作業とは、「苗木を列または碁盤目状に植えて強風を緩和させます。
間隔を十分取り、木々の合間に草を育てます。草は表土、木は深土を改良し、樹種は、ポプラ・松・楡・アカシア・ニンキョウなど。地形に適した木を植えます。

「草方格を作る」とは、「草方格は、草を格子状に植え込み、砂の流動を抑える手法。
砂丘の中腹に作る「ことで、二日目、三日目にこの作業がありました。ここでは第一日目のポッドに入った楡や松についての「苗木を植える「作業について記します。

あらかじめ設定された範囲に作業に必要な道具類や苗木を手分けして運びます。水は作業地にできるだけ近いところで掘られた井戸から発動機をつかってビニールパイプで送られ、バケツに分けられます。植樹は、まず砂地にショベルで50cmあまり掘り下げます。黄土高原の場合と異なり砂地であるため掘りやすいのですが、崩れ落ちるのもあっという間です。

表面は乾いた砂ですが、中の砂は湿り気を含んでおり、苗木を植える際には、湿った砂をうまくもどす配慮が求められます。ついで用意した苗木ポッドから苗木を抜き取り、掘り下げた穴におき湿った砂をもどしてやり水を注ぎ込みます。

最後に周りを踏み固め、あわせて木の周りの砂をドーナツ状に盛り上げます。これは雨が降った場合、苗木の周りに雨水が集まるようにとの工夫です。

内陸部の場合、土中の水分の蒸散を少なくするためポリシートを円形にはった中に苗木を植え込むという方式をとっていますが、ここでは保水の問題もさることながら、砂地の移動の問題が大きいように感じました。ですからもうひとつの作業、草方格づくりの意義があるものと思われます。

この土地は2006年から植樹作業に入ったとのことですが、リーダーの成田さんによれば昨年植えたという松の半分近くが枯れているとの見解、それをもとに枯れ死した部分に五角かえで(モミジ)など別の種を植えてみるとのこと。これまで経験してきた内陸部での植林活動にくらべ、樹種の選定に多様性を持たせていることを感じました。

二時間あまりの午前の作業の後は、ジープで20分あまり移動して村長さんの家での昼食です。作業をともにした村人、そして同居の犬も食事のおこぼれにあずかるというのは、甘粛省や陝西省の農家での経験と同じです。食事の献立、味付けなどについては、項を改めて取り上げたいテーマです。村長さん宅での昼食時で気づいたことのもうひとつは祀りに関することです。この家でも居間の最も目立つ辺りに聖者を描いた聖画が飾られています。

そこに描かれている人物が極めて具象的なので家人に尋ねてみると、チンギス・ハーンとのこと。中国であっても、モンゴル族の世界なることを再認識させられました。昼食後、村人の馬に乗せてもらい、ちょっとした乗馬気分を味わうことができましたが、私たちにとっての乗馬とモンゴル族の村人にとっての乗馬は意味するところは大きく異なるものなのでしょう。

午後は、FoE が支援している現地の人による緑化活動の対象となっている家庭農牧場の一軒を訪ね、家人への聞き取りと農場の見学をしました。FoE の植林地よりも気のせいか、丁寧に管理されている様子がみてとれます。しかしながら、じっくりみ続けるうち、成長途上の若木の樹皮の部分がはがされている木々をあちこちに見ることになりました。

それほど遠くないところに馬が数頭餌を食んでいる様子を遠望できます。聞けば隣村の住人が放牧している馬とのこと、広大な土地を柵で囲って植林を行っても、植樹間もない若木の樹皮を餌にすることをわかっていても家畜を放つ農民がいるのも現実です。法律をきちんと適用することだ…という参加者の声も聞こえましたが…。

砂地の中の植林家庭農牧場の見学を終え、宿舎への帰り道、私たちを乗せたジープはまず砂丘越えのトライアル、幹線道路に出てからは乗っている私たちが以下にクルマの動きに合わせて衝撃を少なくするか、クルマも人もこの地にあわせた対応が求められます。

烏雲農場のあるウルスンにもどり、立ち寄った店で同行のKさんがふるまってくれたアイスバーの冷たさがひときわ引き立った一日でした。

(参照)
*「FoE「: 国際環境NGO FoE Japan(以前「地球の友「) ⇒ http://www.foejapan.org/
         □中国砂漠緑化プロジェクト ⇒ http://www.foejapan.org/desert/index.html
         □砂漠の写真館も参考に ⇒ http://www.foejapan.org/desert/gallery/index.html
  烏雲農場については「沙漠植林ボランティア協会「 ⇒ http://sashoku.org/index.html


*なお、この「シルクロード植林ボランティアへの参加から「は随時写真入でホームページに掲載していきます。
□「シルクロード植林ボランティアへの参加から
   ~中国内陸部の環境問題への取り組み~⇒ http://www.k3.dion.ne.jp/~eric-net/200611cntour_umemura.htm
□「中国植林報告 ⇒ http://www.k3.dion.ne.jp/~eric-net/200603cntour_umemura.htm
[PR]
by ericnews | 2007-07-29 14:47


<< 未来の子どもたいに、今私たちが... ERICの07年度プロジェクト... >>